自然身体構造研究所 編

第172号:

軸足回転打法のコツ(軸足で地面を蹴らない)

バリー・ボンズ選手に代表される軸足回転打法。多彩な変化球に対応するために多くのプロ野球選手やメジャーリーグの選手が軸足に体重を残す打法で試合に臨んでいます。今回はこの軸足回転打法に焦点をあて、解剖学的に解説してみましょう。



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軸足回転打法のコツ(軸足で地面を蹴らない)

バリー・ボンズ選手に代表される軸足回転打法。多彩な変化球に対応するために多くのプロ野球選手が取り組んでいます。なるべくボールを引きつけて打とうという意識で軸足に体重を残してスイングをします。ですがプロ野球の選手でも軸足回転打法にチャレンジして調子を崩し従来の打法に戻す選手もいます。ヤンキースの松井選手も何年もかかってようやく軸足回転打法をものにしたようです。

ですがアメリカや中米などの野球の本場では小さい頃より軸足に体重を残すような練習に取り組ませます。前足につっかえ棒をして軸足に体重を残しスイングをする練習をします。(写真1)

写真1 (写真1-クリックで見る事ができます。)

メジャーリーグの多くの選手が軸足に体重を残す打法で試合に臨んでいます。小さく曲がるスピードのある変化球に対応するために軸足回転打法の技術が必要なのでしょう。プロ野球の解説者は軸足回転打法を「外国人のように強力な下半身の筋力が無ければ軸足回転打法はできない」と言います。

今回はこの軸足回転打法の動きを解剖学的に解説してみようと思います。ホームランバッターやメジャーリーグの選手の多くが採用している軸足回転打法ですが、アメリカの小学生の野球少年などが実に素晴らしい軸足回転打法をしている映像を見たことがあります。かもしかのように細い脚の小学生くらいの少年が軸足回転打法でボールをかっとばしていました。この映像からは強力な下半身の筋力がなければ軸足回転打法はできないという解説者の発言は納得できないように思いました。たしかに軸足回転打法は軸足に多くの体重が残っており、ほとんど軸足一本で回転しているように見えます。そして解説者をはじめ多くの選手のみなさんが「軸足の筋肉で強く回転させる」とイメージするのではないでしょうか!

軸足一本で回転するというとフィギュアスケートのスピンを思い浮かべます。氷面に接するスケート靴の刃が氷の上をすべるように体は高速回転をします。ここで想像してもらいたいのですが氷面をすべるスケート靴の刃の摩擦と軸足回転打法の軸足の靴底のソールの摩擦を。軸足回転打法の場合、靴底を蹴るようにして回転を得ようとしていると思います。フィギュアスケートのスケート靴の刃の場合、つるつるにすべる氷との接地面を蹴るような動きで回転を得ようとすることは不可能です。どちらかというと軸足全体は独楽の軸のように体の支えになっていて体幹部や腕の遠心力で回転しています。(写真2)

写真2 (写真2-クリックで見る事ができます。)

実は軸足回転打法をスムーズにできる一流選手はフィギュアスケートのスピンのように軸足を回転の支えのように使っていて体幹部の筋肉の力で回転しているのです。ですから正確に表現すれば軸足回転打法ではなく軸足支え体幹部回旋打法になると思います。では具体的にこの方法の手順を説明したいと思います。構えから後足に体重移動をして、その位置でスイングをすることが軸足回転打法です。(写真3)

写真3 (写真3-クリックで見る事ができます。)

普通のイメージでは後脚の筋肉の力でスイングを始動させようとします。(写真4)

写真4 (写真4-クリックで見る事ができます。)

ですがこの方法では軸足回転打法は成功しません。フィギュアスケートのスピンのように後脚は体重を受けとめた状態で体を支えるようにします。そして体幹部のピッチャー側の腹筋だけで(外腹斜筋・内腹斜筋・腰背筋など)体幹部を回旋させます。(写真5)

写真5 (写真5-クリックで見る事ができます。)

後足に体重が乗っている状態でピッチャー側の腹筋で回転を始動させると上半身が振子のようにピッチャー方向にスイング運動が起こります。(写真6)

写真6 (写真6-クリックで見る事ができます。)

その上半身のスイング運動のエネルギーを利用しながら次に軸足の筋力を出力させるのです。(写真7)

写真7 (写真7-クリックで見る事ができます。)

軸足の筋肉は比較的楽に筋出力を行うことができます。
それに対して軸足で地面を蹴るとイメージした場合は上半身の重さ、脚そのものの重さを脚の筋肉で回転させるわけですからスムーズに始動することができません。(写真8)

写真8 (写真8-クリックで見る事ができます。)

結果的にスイングスピードも上がらず軸足回転打法の試みは失敗するのです。
正しい軸足回転打法の動きはサッカーのロナウジーニョ選手がサイドステップするときやエラシコというフェイント技を使う時の体の使い方と同じです。「股関節外旋ステップ体操」という体操でこの感覚が身につきます。書店で販売されている「タイツ先生のモノマネ野球教室」(白夜書房)に収録されています。バリー・ボンズ選手や松井秀喜選手の軸足回転打法も収録されていますので参考にしてください。


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