剣術と整体の教え バットの握り方
「バットのヘッドが走る」「スイングスピードが速い」「バットを力いっぱい振っているようには見えないけれどもヘッドが走っているように見えるよな」一流のバッターは楽に軽くバットを振っています。空気の抵抗さえも全く感じないようにバットを振っています。
バットスイングを物理の法則に照らし合わせて見てみると体の中心を軸としたバットと腕の回旋運動です。(写真1)
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この体の周りを回る回旋と二の腕返しと言われる前腕を回旋させる二つの回旋運動があります。(写真2)
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この二つの回旋運動がスムーズなことがスイングスピードが速いといえます。物理的に回旋運動する場合、軸が安定していた方がスピードが速くなるのです。バッティングの場合はバットが体の周りを回旋する体の中心部を軸とした運動と、前腕の二の腕返しといわれる腕とバットそのものが回旋する前腕の尺骨を軸とした二つの回旋です。(写真3)
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体の中心部を軸とした運動は軸足から前足へのイチロー選手のような運動やバリーボンズ選手のような軸足回旋打法や清原選手のようなオーソドックスな打法があります。
これらの全ての打法で共通して、武術で言う「体の割れ」という教えの体の中心部の動き(筋力、柔軟性)を活性化させることが重要です。このことによって体の軸が安定します。(写真4)
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そしてこの二の腕返しのもう一つの回旋、インパクトからフォローにかけてバットのヘッドを走らせる腕の回旋軸(尺骨軸)とバットの握りの関係について書いてみようと思います。
二の腕返しの骨格の構造は肘関節から伸びているとう骨という骨が尺骨を軸として折り重なることによって起こります。(図1)
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まずこの動きを正確にイメージすることが重要です。そしてこの尺骨軸回旋をスムーズにするのにバットの握り方(力の出し方)がポイントになります。
では実験をしていただきたいのですが、右手を前に伸ばして少し強めに手を握ります。その状態で腕を内旋、外旋と交互に動かします。この状態で動きの感覚を覚えておいて下さい。(写真5)
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次に小指と薬指だけを少し強めに握っていただいて親指、人差し指、中指は自由に動かせる位の状態で軽く握って同じように腕を内旋、外旋します。(写真6)
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スピードが早く、動く範囲が大きいことが分かります。バットの握りとは「小指と薬指をしっかり握り、他の三本の指は自由に動かせる位軽く握る」ということになります。(写真7)
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剣の握りの教えには「小鳥を握るような感じで」「小指を薬指の母指球で握る」「上から見て親指と人差し指が作る型が(V字型)になる」ということがあります。(写真8)
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剣はいかなる方向(上下、左右、斜め)にも動かせなければなりません。自由自在に動かせるコツとしてそのような教えがあるのです。バットも速球やスローボール、チェンジアップなどの変化球などに対応する為に自由自在の握りが重要なのです。
では実際のバットの握り方について説明します。
バットを握る力の握り方は両腕とも小指、薬指でしっかり握るという意識を持ってください。親指や人差し指、中指は自由自在に動く位に楽に握ります。これで小指、薬指側の骨、尺骨が軸として安定することになります。尺軸骨が安定して中指、人差し指、親指側のとう骨側の筋肉が力を発揮してスピードがある二の腕返しができるのです。
そしてもう一つのポイントとしてインパクトからフォロースルーにかけて(二の腕返しの反転する瞬間)の手首の関節の角度があります。手首の関節が尺骨側に傾くことです。(写真9)
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これはバットの重さと二の腕返しをスムーズにさせるコツでゴルフではサムダウンと呼ばれています。タイガーウッズ選手や宮里藍選手など一流選手のほとんどがサムダウンの型になっています。
バットも尺骨軸に合わせる為にこのような型になるのですが意識的に手首に力を入れて合わせるようにするのではなく、自然とサムダウンの角度になるように練習しましょう。ペンなどを持ってサムダウンの形をつくり腕を回旋させましょう。(写真10)
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また、当研究所の「尺骨軸回旋トレーニング」や「鉄バットトレーニングメソッド」の中にも二の腕返しの練習がありますのでやり込んで感覚をつかんで下さい。
多くのバッターはこの尺骨軸の感覚に気づかずスイングスピードを損しています。尺骨軸と小指、薬指の握りをしっかりイメージして練習にはげんでください。
最後に握り方のコツとして手相で握るということがあります。手相は感情線、知能線、生命線がありますがこの3つの線に合わせてバットを握ると小指を握るような感じの握り方が自然にできてしまいます。(写真11)
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