自然身体構造研究所 編

第114号:

内部感覚と外部感覚(上達のコツ)

外部感覚に基づく運動はバッティングにはとても重要なことです。しかし、内部感覚が必要ではないかというと、そうではありません。今回は内部感覚と外部感覚における上達のコツ・メカニズムについて紐解いていきましょう。



Powered by まぐまぐ

野球の骨(コツ)
スポーツの骨(コツ)

ナチュラルボディー理論参考資料
ぴーかんバディ!
中学野球小僧

内部感覚と外部感覚(上達のコツ)

バッティングの場合、投げられたボールを視覚で捉えて判断し、ボールを打ちます。外から与えられた情報(ボールが飛んでくる)を捉えて動くこと(ボールに当たるようにスイングをする)、このことが外部感覚に基づいた運動です。またゴルフのように止まっているボールを打つ場合は体の感覚やイメージといわれる内部感覚が重要になります。

あるゴルフ雑誌でこの内部感覚に関する実験の記事がありました。アイマスク(目隠し)をした状態でゴルフボールを打つ実験です。(写真1)

写真1 (写真1-クリックで見る事ができます。)

被験者は、ゴルフの初心者、トップアマチュア、プロゴルファーの卵、プロゴルファーの四者です。この場合、目隠しによる視覚の外部感覚を遮断して内部感覚だけでゴルフボールを打つことになります。当然ゴルフボールをクリーンヒットする確率が落ちます。結果のクリーンヒットした率をしめすと初心者18%、トップアマチュア44%、プロゴルファーの卵70%、プロゴルファー90%でした。技術的に成熟するほど内部感覚が発達しているという結果です。

バッティングでは外部感覚が重要ですが、内部感覚が不用かというとそうではありません。イチロー選手の言葉を引用すれば「セカンドゴロの凡打を打った時の感覚でバッティングのイメージが分かった」と述べています。このように一流選手ほど内部感覚が発達していることは野球でもゴルフでも他のスポーツでも変わりありません。

この内部感覚には記憶のメカニズムが強く関わっています。記憶のすべてが解明されたわけではありませんが素晴らしい動きを再現するためには記憶(イメージ)が重要になるのです。ある高打率を発揮したバッターは次のような事を言っています。「いままでたくさんのピッチャーが投げるボールを見てきた。その一球一球が体に染み付いているような気がする。そのような感じで今対戦するピッチャーを見るんだ。投球練習を見たり初打席で数球ボールを観察するとそのピッチャーが投げるすべての球種とそのすべてのボールの軌道がイメージできるような気がする。そうすると、どんな球種でもどんなコースでもイメージできているから(わかっているから)打てるような気がするんだよ」彼が言っていることは視覚で見た情報を内部感覚(体の感覚イメージ)として記憶していることによって可能になっています。このようなことを可能にするのは外部感覚の情報を、その時、体が感じた感覚、対応した動きのプロセスなど実際に感じたことと一緒に体験すると記憶が強化されます。そのことをイメージした時に本当にリアルにその状況を再現できるのです。

このように外部感覚と内部感覚(体の感覚)を同時に行うのが上達のコツなのですが一般の選手は内部感覚(体の感覚)が弱いのです。例えば動きにおいては肩甲骨や股関節などが重要なポイントになります。ですが動きの中でうまく動いていない選手ほど肩甲骨や股関節を動きの中でイメージする(感じる)ことができません。

言葉をかえて肩甲骨は「背中側の骨を動かしてスイングして」とか、股関節は「脚のつけ根のところをゆるめてスイングして」と言ってもイメージすることができません。それではと実際に肩甲骨や股関節の周辺をさわりながら指導してもイメージすることができないのです。こういう選手は内部感覚が劣っているといわざるをえません。人間には意識(内部感覚)が強い部位があります。例えば手や体の前側の筋肉です。体の後ろ側の筋肉の意識はたいへん弱いのです。ですから一般の選手はスイング始動を手の部分から力を入れます。「肩甲骨からスイングを始動させて」と言っても理解できないのです。

まずは体のいろいろな部位の意識(内部感覚)を高めることから始めなければなりません。いろいろな動きの場面で肩甲骨や股関節などを意識して動いてみましょう。(図1)

図1 (図1-クリックで見る事ができます。)

指導者の方は「肩甲骨や股関節を動かせ」などの声かけをしたり、実際にさわって指導したりしてください。私が学んでいる武術では足底の感覚を意識する練習をします。動いているときに「足底を感じてください」という指導があるのです。足底の感覚が鋭敏になり地面の傾斜や小石などに素早く反応できるようになり、ねんざすることがほとんどなくなりました。ボディーバランスがよくなったということではないでしょうか。

内部感覚を研ぎ澄ます練習をお伝えします。先の高打率の選手はバッティングセンターでバットを一回も振らないで帰ってくるそうです。特に調子を落としたときに打席に立ってひたすらボールの軌道を見て見逃しをするそうです。一回も振らずにです。外部感覚を内部感覚にする練習ですね。みなさんは、日常生活も含めていろいろな場面で体の感覚を感じることから始めてみてください。


質問タイトル
(例:体の使い方について/トレーニンググッズについて)
お名前 (HN可 例:鈴木太郎)
メールアドレス (例:info@naturalbody.jp)
メールアドレス(確認) (例:info@naturalbody.jp)
質問内容

Copyright (C) 2004 Yoshizawa Inc. All Rights Reserved. ホームページ制作会社(東京都杉並区)ノーブルウェブ