自然身体構造研究所 編

第93号:

トランポリンの効果といろいろなトレーニング

NASAの宇宙飛行士がトランポリンを飛んで筋力を鍛えていることを受け、アメリカのスポーツジムではミニトランポリンを使ったエクササイズが大流行しています。また野球の強豪校でもトランポリンを使ったトレーニングは取り入れられています。今回は注目されるトランポリンを使ったトレーニングを紐解きながら、その効果について解説して行きます。



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トランポリンの効果といろいろなトレーニング

NASAの宇宙飛行士がトランポリンを飛んで筋力を鍛えているそうです。このことをうけてアメリカのスポーツジムではミニトランポリンを使ったエクササイズが大流行しています。当研究所でもTVの取材を受けるなどミニトランポリンを使ったトレーニングが注目されています。野球の強豪校でもトレーニングに取り入れられています。このように注目されているトランポリンですが、その効果について説明してみようと思います。

その効果の一つは「全身の筋肉が連動して動く」ということです。「全身を使って動け」とはどんなスポーツや武道でも教えられる言葉です。ところがこの全身を使って動くとはいまひとつ実感が持てないのではないでしょうか。ミニトランポリンを使えばこのことがはっきりわかります。ミニトランポリンを飛ぶ時に脚に力を入れて飛んでみます。特に力が入るのが太腿前側の大腿四頭筋ではないでしょうか。ところがこの筋肉の使い方では、トランポリンを飛ぶことはできません。(写真1)

写真1 (写真1-クリックで見る事ができます。)

次に全身をリラックスさせて飛びます。この時の体のイメージは全身の各関節をゆるゆるにゆるめるイメージで飛んで見ます。中国拳法や身体開発技法などでは「体が水の袋になったように」というイメージを使います。そうしますとミニトランポリンを楽々と飛ぶことができます。(写真2)

写真2 (写真2-クリックで見る事ができます。)

この動きがリラックスしながら動くという一流アスリートの動き方そのものなのです。このとき体の中でなにが起こっているのかを説明します。体には動きに対して主動筋と拮抗筋といわれる関係があります。たとえば肘を曲げる運動だと曲げる時の主動筋が上腕二頭筋(力こぶ)で、裏側の上腕三頭筋(二の腕)が拮抗筋となります。肘を曲げる運動では上腕二頭筋に力が入っていて裏側の上腕三頭筋はリラックスしていなければなりません。筋肉がうまく使えない(とはこの運動のとき主導筋と拮抗筋の両方の筋肉に同時に力を入れてしまいます。(写真3)

写真3 (写真3-クリックで見る事ができます。)

全身の筋肉が連動しない原因の一つは、このような動き方によるものです。そして主動筋と拮抗筋の関係は全身の関節がそれぞれ関係しています。全身が上手く連動して全身を使って動く感覚が「リラックスをしながら動く」ということになります。なかなかこの感覚で動くことは難しいことなのですが、ミニトランポリン上では難なくこの感覚をつかむことができます。ようするにトランポリンのエクササイズを続ける事により一流アスリート達の「リラックスしながら動く」という神経回路が構築されるのです。

自転車に一度乗れるようになるとのり方を忘れる事はありません。それと同じように「リラックスしながら動く」という神経回路も日常生活やスポーツ・武道の時にも忘れることなく力を発揮するのです。また、いろいろなスポーツや武道では素早い体の方向転換や短い距離での素早い移動など高い能力が必要です。瞬発力や俊敏性といわれる能力です。そのためのトレーニングとしてラダートレーニング(写真4)

写真4 (写真4-クリックで見る事ができます。)

や連続ジャンプなどがあり、このようなトレーニングをプライオメトリクスといいます。野球選手がラダートレーニングをしている姿を見る事がよくあります。素早く軽やかに移動する選手もいますが、ほとんどの選手がバタバタと地面を強く踏みしめるような動きです。歯をくいしばり体をガチガチに固めて動いています。本人は一生懸命なつもりなのでしょうが鈍重な動きしかできていません。このような選手は体の一部だけに頼った、全身の筋肉が連動しない動き方になるのです。ですからこのような選手は投げる動き、打つ動きにおいてもこのようなフィーリング(脳の指令)で動くのです。ですからいつまでたっても上手くなることはありません。イチロー選手のように、しなやかで力強い動きになるためには力を出すイメージ(脳の指令)を変えなければならないのです。その動きの脳の指令を変えることができるのがミニトランポリンでのトレーニングなのです。

ミニトランポリンをとんでいると力を入れているという感覚はあまり感じられません。これはうまく筋肉が連動しているからなのですが、アメリカでの調査では地面でジャンプするのとミニトランポリンでジャンプするのを比べた場合、ミニトランポリンの方が40パーセントも筋出力が高いという結果が出ています。力を入れている感覚が無いのに、力自体は40パーセントも多く出力されていたのです。

もう一つのポイントが「体幹部の動きを活発にする」ということです。先日四冠馬のディープインパクトが春の天皇賞を圧倒的走りで勝ちました。目をこらしてディープインパクトの走りを見ると、この次元の違う走りは胴体(体幹部)の動きが大変活発なのです。また100mスプリントのガデリン選手の走りも、やはり体幹部の動きが他の選手とまったく違っています。他の選手は体幹部が一つの箱のように見えてその姿勢のまま走っています。ガデリン選手は体幹部を上下左右回旋など縦横無尽に使いながら走っていました。究極のすり足走法といえるもので体幹部がまるでスプリングのように動いていました。

ミニトランポリンのトレーニングにはリラックスしながらジャンプする動きに組み合わせて上半身を連動させるエクササイズが多くあります。このような動きを続けることによってガデリン選手のような動きを身に付けることも可能なのです。コア(体幹部)トレーニングとして最高の方法だと思います。(写真5:体幹部の動きのイメージ写真)

写真5 (写真5-クリックで見る事ができます。)

 


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