自然身体構造研究所 編

第90号:

一本歯下駄トレーニングとバランス能力と姿勢

左足から右足へ、右足から左足へ。左右の体重移動が起きるとき、回転(遠心力)が生まれます。すべてのスポーツや武道もこの左右の体重移動の応用ですが、回転が生まれる場合、安定した軸が必要となります。今回は、この回転について紐解き、トップアスリートの感覚をも身に付けることが可能な一本歯下駄によるトレーニングについて解説して行きます。



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一本歯下駄トレーニングとバランス能力と姿勢

人間は二本足で立って動きます。左足から右足へ、右足から左足へ。左右の体重移動が起きる瞬間、回転(遠心力)が生まれます。すべてのスポーツや武道もこの左右の体重移動の応用です。回転が生まれる場合、安定した軸が必要です。体の全体的な軸であったり、フィギュアスケートのような片足のスピンの場合は脚そのもの軸であったりします。野球のピッチャーの腕の内旋、外旋の動きは腕そのものに軸を形成します。

想像してください。軸が斜めになってしまった独楽が回転しているところを。うまく回転するはずがありません。実は人間が二本足で立った状態では重力方向の力を(引力)を受けています。この時は身体が一番安定して二本足で立っていられる構造的重心線があります。この動きの中での重心線のとらえ方が軸の安定能力になります。重心線は体の中心、頭の百会とよばれる中心部から、横から見ると耳の横を通って、背骨の前側、骨盤の中心(骨盤底付近)を通り、足のつちふまずあたりに通っています。(写真1)

写真1 (写真1-クリックで見る事ができます。)

よくある間違いは背中の背骨の表面に中心線があると思ってしまうことです。(写真2)

写真2 (写真2-クリックで見る事ができます。)

この場合はよく踵が痛くなります。わたしも以前は間違えていて30分位歩いただけで踵が痛くなっていました。正確に立てているかどうかということは、壁に背中をつけて肩甲骨の一部とおしりの一番高いところの4点が壁につくかということをチェックします。足の踵は壁から2〜3cm位はなして行います。

正確に立てた時の重心線は全身の筋肉がいつでも働けるようになっているニュートラルポイントといえます。人間が安定して立つという事はこの重心線を基点として前後左右、内側、外側の筋肉が微調整しながら立っているという事がいえます。人間は完全に止まる事はできず、全身が微妙にゆれながら、重心線の上でやじろべえのようにバランスをとっているのです。

重心線を間違えてとらえている人は身体が傾いているような状態で一部の筋肉がその傾きを支えるように常に緊張しています。このことは筋肉の性質の緊張と弛緩を繰り返すことで動くことができるということから考えると、体重移動する動きがワンテンポ遅れることになるのです。傾きを支えている筋肉は力が入っているため、まず力を抜き、動くためにまた力を入れるとしなければ動けません。一つ多くプロセスを踏む事になります。ですからスポーツや武道において立つ姿勢やバランス能力は上達における基本中の基本といえるのです。

ところが日常的に何十年もかけて身につけてしまった間違った重心線を修正するのはなかなか難しいのです。よくスポーツ指導者の方が言われることに「走る姿が悪い選手に一流選手はいない」「走る姿がよくなったときに、その選手は伸びる」というのがあります。とはいうものの姿勢やバランス能力、走る姿を変えることは至難の業です。ところが劇的に変える方法があるのです。それが一本歯下駄のトレーニングです。ある高校野球の強豪校が一本歯下駄を導入し大変な効果をあげています。50名近い部員のほとんどが一本歯下駄でランニングを続けています。その姿は忍者軍団のように壮観です。(写真3)

写真3 (写真3-クリックで見る事ができます。)

この高校の監督さんがこんなことを言っています。「選手に一本歯下駄をはかせて相撲をとらせたんです。そうしたら勝負がつかない。二人とも力をいなしてしまう朝青龍関のような体の使い方になっているのかもしれません」「朝礼の時、野球部員の立ち姿があきらかに他の生徒と違うんです。微動だにしないのにリラックスして立っているのです」「ピッチャーのピッチングフォームが本当に安定してきて、球威、コントロールとも格段に向上しました」

一本歯下駄トレーニングは高橋尚子選手のフラット着地走法や末續慎吾選手のナンバ走法が勝手に身についてしまいます。それは一本歯下駄の不安定な状況で走ることが重心線を適確にとらえながら動く能力を格段に向上させることによって起こります。またリラックスしながら動くというトップアスリートの感覚も身に付きます。不安定な状況でゆるんでゆるんでバランスを取ろうとする本能に働きかけ、知らないうちに重心線に基づくバランス能力を向上させてしまうのです。

一本歯下駄をはいて走ることによって、身体は一番効率のよい体の使い方でその状況に対応しようとするのです。

 


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(例:体の使い方について/トレーニンググッズについて)
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