自然身体構造研究所 編

第69号:

体重移動における背骨の使い方

「あのピッチャーは体重が乗った素晴らしいボールを投げる」などの言葉は体重移動がいかに大切かということを物語っています。そして効率のよい体重移動を発揮するためにはサイクロイド曲線を描くことが大切です。今回は、サイクロイド曲線のポイント、練習方法を解説して行きます。



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体重移動における背骨の使い方

ピッチャーは軸足一本で立って体重移動しながら前方に投げ込みます。
「あのピッチャーは体重が乗った素晴らしいボールを投げる」などの言葉は体重移動がいかに大切かということを物語っています。体重移動は右脚から左脚へ、左脚から右脚へなどの並進運動(横への平行移動)のように見えます。ところが下へ沈み込むような(パイプラインを滑るような)曲線を描いて移動した方が効率がよいのです。(写真1)

写真1 (写真1-クリックで見る事ができます。)

この曲線はサイクロイド曲線と呼ばれています。仮に東京と大阪をサイクロイド曲線で結んだ場合、重力の作用だけで12分間で到着してしまいます。(図1)

図1 (図1-クリックで見る事ができます。)

サイクロイド曲線は最速落下曲線ともいいます。(詳しい説明はメルマガ64号をお読み下さい)ですからピッチングにおいてもピッチャーの体重をこのサイクロイド曲線にのせて体重移動を行えば、体重を100%活かしきったものになるのです。

サイクロイド曲線にのるためには脚を上げて軸足一本から体重移動する瞬間全身の力を抜く(脱力する)ことがポイントです。サイクロイド曲線はまず、重力方向(下方向)に移動した結果、惰性で並進運動が起こるのです。人間は重力方向に沈むための筋肉が無いため、完全に脱力することが一番速く沈む事ができます。脱力するには、全身の関節のポイントの力を抜くとよいのですが、それには一つ骨格の構造的問題があるのです。それは背骨がS字の構造になっていることです。(図2)

図2 (図2-クリックで見る事ができます。)

この構造は人間が二本足で立つ運動において重要な働きを担っているアーチ状の構造です。曲線の部分が体重をしっかりとサポートしています。(図3)

図3 (図3-クリックで見る事ができます。)

この背骨のアーチは立っているときはよいのですが、沈む(座る)時は問題があるのです。身体が沈めば背骨も沈みながら縮まないような影響を重力によってうけます。背骨のテンションが強まって力を抜くこと、脱力することを妨げます。(写真2)

写真2 (写真2-クリックで見る事ができます。)

特に腰のあたりです。ですから、この背骨のテンションを逃がしてやる方向に背骨を導かなければなりません。その方法もまた背骨の構造が教えてくれます。背骨の一番下の部分には仙骨という骨がついています。(図4)

図4 (図4-クリックで見る事ができます。)

仙骨はオチンチンの方へ曲がっています。この仙骨が曲がっている方向へ体重を移動するのです。(写真3)

写真3 (写真3-クリックで見る事ができます。)

そうすると背骨のテンションを逃がす事ができて100%の体重移動ができます。投げている本人は「お尻から倒れてしまいそうだ」と感じるでしょう。「倒れてしまう」ということは完全な脱力ができているのです。ピッチャーが投げる瞬間にコーチの方が仙骨の部分をオチンチンの方向へ手でサポートするのがよい練習方法です。(写真4)

写真4 (写真4-クリックで見る事ができます。)

またピッチャーを軸足一本で立たせてコーチがお尻側で手で受け止めるように座らせる方法もよい練習です。(写真5)

写真5 (写真5-クリックで見る事ができます。)

仙骨を入れ込むようなイメージを使ってください。形で覚えるのではなく脱力する感覚を繰り返し練習してつかんでもらいたいと思います。

 


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(例:体の使い方について/トレーニンググッズについて)
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