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インナーマッスルが働く感覚
ロスアンゼルスオリンピック女子100m走金メダリスト、フローレンス・ジョイナー選手は100mを笑いながら走り抜けました。バスケットのマイケル・ジョーダン選手は舌を出しながら空中を飛び華麗にダンクシュートをきめます。イチロー選手はバッティングのコツを「バッターボックスの中でいかにリラックスして動けるかということです。」と発言しています。ソフトバンクの城島選手は「バッティングのときは腕にはほとんど力が入っている感覚はありません。腕をデンデン太鼓のように振っているだけです」と言っています。
こういった一流アスリートたちは普通私たちが考える「力を入れる」「力を出す」などの感覚とは反対の力感の中で動いているようです。このような動きを武術では「居つかない動き」といい(相手に動きを覚られない、力の発振点が相手にわからない)初動負荷理論の小山裕史氏の動きそのものであり、陸上界では「地面反力」といい、競馬では無敗三冠王のディープインパクトの地面を蹴らない走りなのです。(ディープインパクトの蹄鉄は一般の馬では2週間もたつとへってしまうのに、3週間たっても磨り減る事がないそうです)これらの全ての動きはインナーマッスルとアウターマッスルを使い切った筋肉の伸張性反射を利用した動きということがいえます。
インナーマッスルとは言葉どおり内側の筋肉ということです。筋肉は骨に密着したインナーマッスルの上に何層も重なっているのです。表面に近い外側の筋肉をアウターマッスルと呼びます。全身がインナーマッスルだらけということに気をつけてください。ではここでインナーマッスルが働いている感覚をみなさんに体験していただこうと思います。まず肘を90度に曲げて前に突き出します。この状態で手のひら側を腹につくように曲げます。(写真1)
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この動きは野球のピッチャーがチューブなどをもってインナーマッスルトレーニングをする動きです。(写真2)
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この動きの目的は背中側の肩甲骨に付着しているインナーマッスル群(図1)
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を鍛える事にあります。このインナーマッスル群が働けば肩甲骨が十分に動くということです。それにともない上腕骨が回旋する動きをします。(写真3)
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では肘を曲げた状態から手を強く握りしめて手のひら側を腹に押し当てるように動かしてみましょう。(写真4)
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肩甲骨の動きを覚えておいてください。今度は手は軽く握りリラックスしながら同じ動きを行います。(写真5)
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肩甲骨の動きはどうですか?明らかに手を軽く握ってリラックスした方が肩甲骨がよく動きます。ですからインナーマッスルがよく働いているのです。インナーマッスル群はリラックスした感覚の動きでないと働く事がないのです。インナーマッスルには力を入れるという力感がないのでしょう。力を入れるという感覚はアウターマッスルのものなのでしょう。ですから力んだり力を込めたりするとアウターマッスルが先に働いてしまってインナーマッスルが働く事を阻害してしまうのです。野球のピッチャーは肩甲骨のインナーマッスルトレーニングをします。非常に軽いダンベル(1kg位)か、たいへん負荷の軽いチューブでトレーニングをします。(写真6)
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重い負荷の物を使うと先にアウターマッスルが利いてしまうので軽い物を使うのです。しかし「投げる動きにそった肩のインナーマッスル・トレーニング」は4kgのウェイトを使います。ケトルベルを購入された方からこんな質問がありました。「ケトルベルのインナーマッスルトレーニングは、まるでストレッチのようでほとんど疲労感がないのですが、これでよいのですか。」(写真7)
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インナーマッスルの働いている感覚を思い出してください。インナーマッスルが働く時に力を入れている感覚は無い。今までの肩甲骨のインナーマッスルトレーニングは1kgのダンベルとか500g位のチューブの負荷とかでも力感がともなっていました。4倍以上の4kgのケトルベルのほうが負荷が少ないと質問者の方は感じているようでした。物理的にも4倍の運動量をこなしているのにです。インナーマッスルには少なくとも4倍の負荷がかかっているはずです。従来のインナーマッスルトレーニングに基準に効率を考えれば相当の負荷がかかっていると思われます。
更になぜ動きに対して力感が少ないかといいますと肩甲骨のインナーマッスルの働きである腕の回旋の動き(外旋、内旋)が十分に行われると腕全体のアウターマッスルが順序良く働く事になります。腕が外旋したときは上腕二頭筋が、腕が内旋した時は上腕三頭筋が働きます。ピッチャーの「腕がしなるムチのようだ」といわれる動きは肩甲骨のインナーマッスルが十分に働き、続いて上腕二頭筋が働き、その次に上腕三頭筋が時間差で働くことによっておこるのです。(写真8)
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空手の突き、ボクシングのパンチ、相撲のてっぽう、柔道の引き手など一流アスリートの腕の動きの中にはこのような動きが含まれています。(写真9)
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ですからケトルベルトレーニングは人間が本来持っている構造に沿った動きを身につける神経伝達システムのトレーニングでもあるのです。ここが従来のウェイトトレーニングと一線を画するところです。
当研究所の「ケトルベル・バッティング達人セット」や「スポーツ・武道のためのケトルベル・インナーマッスル・トレーニング」に収録されているケトルベル基礎動作は腕の筋肉すべてが連動して鍛えられる本当にすごいトレーニングだと思います。この動きの本質を写真ではお伝えできないと思います。ですからDVDの形で提供しているのです。腕のトレーニングはそれだけで充分だといえるほどです。
先の質問に「ケトルベルトレーニングはストレッチのようだ」とありました。これこそソフトバンクの城島選手が言っている「バッティングのときの腕はデンデン太鼓のように使う」ということです。デンデン太鼓は棒の部分を指で回すことによってひもについた球が遠心力で太鼓をたたくのです。人間に置き換えれば胴体の中心の運動が遠心力によって腕が勝手に振られるということになります。腕には力が入っていません。リラックスしています。このリラックスしている状態では肩甲骨のインナーマッスルが働くことになります。腕は回旋され遠心力による腕のねじれ作用(弾力性)も利用して強烈なスイングが生まれるのです。(写真10)
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筋肉のねじれに対する伸張性反射です。体をゴム人間のように使うのです。ケトルベルトレーニングはこのような感覚と柔軟性、筋出力、筋力を同時に鍛えます。ケトルベル・トレーニングはやりこんでいただくと「腕のしなるピッチャーの振り」や城島選手のバッティング感覚に近づけるようになるのです。
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