自然身体構造研究所 編

第64号:

姿勢反射を使った体重移動(ピッチング編)

人間のある特有な動きにより力を発揮する現象を姿勢反射といいます。一流のアスリート達はこの姿勢反射をいろいろな動きに応用し、野球のピッチャーはこの反射を軸足一本で立った状態からの体重移動の瞬間に使います。今回はピッチャーの姿勢反射を紐解きながら、具体的な方法を解説して行きます。



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姿勢反射を使った体重移動(ピッチング編)

人間の動きには、ある特有な動きをすると力を発揮するような姿勢があります。このような現象を姿勢反射といいます。いろいろなスポーツや武道、舞踏などの動きを観察してみますと一流のアスリート達はこの姿勢反射をいろいろな動きに応用していることがわかります。今回は野球のピッチャーがたくみに、この姿勢反射を利用して体重移動する方法を解説しようと思います。まずちょっと実験をしてもらおうと思います。肩幅に足を開いてなるべく早く膝を曲げてしゃがんでもらいます。(写真1)

写真1 (写真1-クリックで見る事ができます。)

次に膝を曲げてしゃがむ瞬間、両腕を上に突き上げながらしゃがみます。どちらが早くしゃがめますか?明らかに両腕を上にあげながらしゃがんだ方が早くしゃがめます。私はこの方法を使っているので、イス取りゲームをするといつも優勝してしまいます。だれよりも早く座れますので、私が座っているところに誰かが座るようなことも起きます。この現象は姿勢反射の一種で対象性頸反射(首の前が伸びると脚が曲げやすくなる等の現象)といいます。

実は一流のピッチャーはこの反射を軸足一本で立った状態からの体重移動の瞬間に使うのです。最大で最速の体重移動ができます。具体的な方法を説明します。体重移動はピッチャーの場合軸足から前足への並進運動が結果的におこります。ところが、この体重移動を軸足から前足への並進運動とイメージして(脳が指令を出して)行うと効率のよい体重移動ができないことを物理法則が物語っています。その法則はサイクロイド曲線といわれています。サイクロイド曲線はスノーボードのパイプラインのような曲線をいいます。(図1)

図1 (図1-クリックで見る事ができます。)

仮に東京から大阪までをサイクロイド曲線で結んで移動した場合、たったの12分くらいで到着してしまいます。計算上このようになるのです。物の重さ(重力)だけを利用した事で東京大阪間が12分で移動できてしまうんです。

ピッチングの時、軸足から前足へ並進運動による体重移動をしようとイメージした場合は、自分の体重を支えながら自分の筋力で前方に移動しようとします。重力に対抗しながら移動するのです。よっこらしょと体重移動する感じです。サイクロイド曲線を利用する場合はまったく筋力は使わない感じです。自分の体重(重力)だけを利用します。更に姿勢反射を組み合わせることで最大で最高のスピード、パワーの体重移動が可能になります。軸足で安定して立てるということが大前提ですが並進運動の場合体重移動の瞬間は体重を支えるために筋力を使います。(写真2)

写真2 (写真2-クリックで見る事ができます。)

サイクロイド曲線を利用した場合、体重移動の瞬間力を抜きます。(写真3)

写真3 (写真3-クリックで見る事ができます。)

筋力の使い方が全くの正反対であることに注目してください。体が下に沈むことによって結果的にサイクロイド曲線に乗った体重移動が起こるということになります。感覚的には軸足から前足へ筋力を使って移動することは全くありません。体重移動は惰性で起こっているのです。ですからサイクロイド曲線の体重移動の場合、下への体重移動が起こった結果惰性で横方向への体重移動がおこると言う事になります。下への体重移動で一番速い方法は全身の力を抜く(脱力)することなのです。

なぜなら人間の身体には下へ沈むための筋肉は存在していません。ですから力を抜くことが一番速い下への体重移動となります。ピッチングでは軸足一本で安定して立ちます。この安定した状態から一挙に全身を脱力します。そして両腕は肩甲骨の動きにより軽く内側にひねられます(回内)。この回内の運動が姿勢反射の腕を上に伸ばす運動と同じ効果を生み出します。(写真4)

写真4 (写真4-クリックで見る事ができます。)

ポイントは足首、膝の裏側、股関節、胸骨周辺、腰周辺、肩甲骨の間などの力を一挙に抜く事です。(写真5)

写真5 (写真5-クリックで見る事ができます。)

それから両腕は自然にひねられるように。決して力を入れてひねってはいけません。これは日本式のヒップファーストの体重移動でも大リーグ式のすり足投法の体重移動でも同じ事なのです。(写真6)

写真6 (写真6-クリックで見る事ができます。)

軸足一本で立って体重移動の瞬間の動き方を繰り返し練習してください。
 

お詫び
先週2005年10月9日(日)発行のメールマガジン63号が、2日早い10月7日(金)に発行され、読者の方々にご迷惑をおかけいたしましたことを心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。今後ともご愛読いただきますようよろしくお願い申し上げます。


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(例:体の使い方について/トレーニンググッズについて)
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