体重移動のコツ
バッティングでもピッチングでも、軸足から前足への体重移動は重要です。この体重移動のよしあしがスピードやパワーに大いに影響します。軸足から前足への移動は並進運動(回転・変形しないで平行移動する運動)ですが、もう一つは上下の位置エネルギーを利用した体重移動があります(写真1)。
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この二つの運動を効率よく使わなければなりません。体重移動を軸足から前足への並進運動だけだとイメージして行なっている人は、いわゆる「スエーしている」状態が起ってしまうケースが多くあります。ポイントは上下の位置エネルギーを並進運動に変換し、ボールやバットに回転運動として伝えるということになります(写真2)。
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大リーガーのバッターやピッチャーは上下の体重移動がたいへんうまいのです。2004年のヤンキース松井選手は上下の体重移動がたいへんうまくなり、ホームランの量産体制に入りました。具体的には、松井選手やジアンビー選手、A・ロドリゲス選手などは、軸足に移動した体重をそのまま上下の体重移動の動きに利用しスイングをスタートさせます。トップをつくった軸足をそのまま沈めるようにです。軸足の上下の体重移動よりスイングがスタートし極力並進運動を抑えぎみにして軸足に体重をのこし、全身の関節群を柔らかくして回転運動に変えています(写真3)。
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特に軸足の足底のアーチ、足首の柔軟性、膝関節の回旋、股関節の回旋ができなければこのように打つことはできません。ピッチングの場合、日本ではヒップファーストで体重移動することが多いようです(写真4)。
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大リーグでは振りかぶって上げた脚をそのまま地面にもどすように体重移動をします(写真5)。
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体重移動とは自らの体重を利用するということです。身体構造を見てみますと、上下に体重移動をする場合に極力力を抜いてしまったほうが、効率がよいことがわかります。日本のヒップファーストのいろいろな選手のフォームを見てみますと、フォームにこだわりすぎて軸足に力が入りすぎていて、自らの体重の位置エネルギーをロスしてしまっている人が多くいます(写真6)。
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こういう選手に体重移動のイメージを聞いてみますと、軸足から前足の並進運動のイメージを強くもっています。上下の体重移動のイメージはまったくもっていません。こういう選手は体重ののらない手投げの投球しかできないのです。体重移動の始動は上下の体重移動、脚を上げたら自分の全体重を地面に沈めるようにすることが一番です。これが体重の乗った投球です。一流選手は力の発揮のしかたが違っているのです。ピッチングでもバッティングでも全身の関節がゆるゆるにゆるんで動くことが絶対条件です。
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