自然身体構造研究所 編

第20号:

入団おめでとう横浜ベイスターズ那須野巧投手 (ピッチング達人技)

第2号でもとりあげた那須野投手が横浜ベイスターズに入団致しました!実際に彼を指導した経験の有る筆者がピッチングの解析とこれからの課題を紐解いていきます。



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入団おめでとう 横浜ベイスターズ那須野巧投手 (ピッチング達人技)

ランディー・ジョンソン2世といわれる日大出身の那須野巧投手のプロ入団が決まりました。私は、先輩である日大野球部鈴木博識監督のご縁で日大野球部に、よくお伺いさせていただいております。那須野投手のフォームは2年生の冬のトレーニングの時に初めて拝見いたしました。第一印象は、最近注目されている腸腰筋が使えている投手だなあというものでした。(図1)

図1 (図1-クリックで見る事ができます。)

腸腰筋が使えると軽く投げても大変強い重いボールが投げられるようになります。一流選手と一般選手の違いは、この筋肉が使えるか使えないかといっても過言ではありません。この腸腰筋が使えるためには全身の骨格・関節が充分柔らかくなければなりません。那須野投手に整体を施術したことがあるのですが、背中の筋肉がびっくりするほど柔らかいのです。指が筋肉に埋もれていくくらいに。
当時の那須野投手の問題だったのが前足の「膝の送り」ができないことでした。そのことによって、身体が後に残ってしまう。それで腰をいためてしまっていました。このことは「膝の自動回旋」という人間に元々そなわった機能を那須野投手に伝えたことによって克服できました。(詳しくは バックナンバー第2号 日大エース那須野選手ピッチング開眼の秘密 をご覧下さい)彼は横浜ベイスターズに自由獲得枠という高い評価で入団できたのですが、私が今、彼の投球の課題と思うことを書いてみようと思います。最近になって野球界でも常識のようになったと思いますのが、投げ終わってフォロースルーの時に腕は内側にひねられることです。(写真1)

写真1 (写真1-クリックで見る事ができます。)

この動きを解剖学的に回内といいます。腕が内側に回転・回旋することです。
回転・回旋する運動には必ず軸というものが存在します。独楽を思い浮かべてもらえばわかると思います。軸がなければ独楽の回転はありえません。物理法則です。ですから腕が内側にひねられる(回内する)ということは、腕にも軸となる機能があるということになります。那須野投手は、まだこの軸の使い方が上手ではないですね。現在彼の急速はMAXで149km位でしょう。軸の使い方をマスターすれば155km位は投げられます。軸の回転効率が上がれば腕の振りが速くなりますので、当然なのです。それでは具体的に解説します。骨格標本(写真2)

写真2 (写真2-クリックで見る事ができます。)

を見てください。腕は肩甲骨・肩関節・上腕骨・肘関節・尺骨・とう骨・手首の小さな骨・手という構造になっています。注目してもらいたいのが前腕の二つの骨です。尺骨ととう骨です。内側にひねるということは尺骨を軸にとう骨が回転するいうことになります。(写真3)

写真3 (写真3-クリックで見る事ができます。)

ここに軸があります。投げる動作での軸といえば肩甲骨・上腕骨・尺骨・薬指を一本の線で結んだラインを軸として腕が回旋しています。ロジャー・クレメンス、ロベルト・リベラ、ペドロ・マルチネスなどの世界の超一流投手は、この回旋が大変スムーズなのです。先ほどのラインが出来て投球している場合、0ポジションが形成されていることになります。腕の軸の回旋を阻害する要因に手首の使い方があります。手首を上下に振る(強くスナップをする)という意識で投げた場合、構造上この回旋にブレーキをかけることになります。(写真4)

写真4 (写真4-クリックで見る事ができます。)

肩甲骨から始まった腕の回旋のスピードを「手首を強く振る」という意識が回旋にブレーキをかけます。しかし一流選手の場合でも、連続写真などを見てみると実際に手首は振れています。では、どこの力で振れているのか?
結論は、グローブはめた腕の力でリリースする手首が振れるのです。猛獣使いのムチを想像してください。ムチの手元で振られた力は順々に伝わって途中で消えることはありません。投球のときも同じです。グローブをはめた腕の逆回転の力でリリースの手首が振れるのです。この逆回転がムチの手元の力に相当します。グローブをはめた腕にも軸があります。ボールを持った腕とグローブをはめた腕と一本のラインで結ばれているのです。(写真5)

写真5 (写真5-クリックで見る事ができます。)

理想的投球では左右の腕が軸のラインに基づいて、それぞれ逆回転で力をおよぼしあっているということです。ですから、わざわざ手首を上下に振るという運動は、腕の振りのスピードを阻害します。
よく「腕を内側にひねったらシュートしてしまいませんか」という質問を受けます。下半身なども関係するのですが、左右の腕の回旋を使って理想的に投げた場合ボールと指が直角になる瞬間は一瞬なのです。(写真6)

写真6 (写真6-クリックで見る事ができます。)

「手首を強く振る」ではなくて左右の腕の軸の感覚の中で「手首が振れてしまう」という感覚にならなければなりません。手首を上下に振るという運動は間違いです。那須野投手には、是非左右の腕の軸の連動を身につけてもらって、プロでの活躍を期待しています。目指せ、新人王・最多勝!

「野球の面白さを、そして上達するほどもっともっと面白くなるということを、自身が発見する。それが大切なんだ」
ミッキー・マントル
(1931年生、1995年没。52年のワールドシリーズでは打率.345、60年のシリーズでは打率.400をマーク。計7度の優勝に貢献し、シリーズ通算18本塁打、40打点は現在でも最多記録として残っている。)


質問タイトル
(例:体の使い方について/トレーニンググッズについて)
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質問内容

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