自然身体構造研究所 編

第13号:

「トップの位置」 その1 (バッティング達人技)

セ・リーグ優勝ドラゴンズ現監督、落合選手。プロ参入間近の楽天の新球団、初代監督に就任した田尾選手。今まさに旬の二人の監督の現役時代のバッティングの秘密にせまる!



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「トップの位置」 その1 (バッティング達人技)

バッティングの時のトップの位置は千差万別です。立てる選手、寝かせる選手、ピッチャー寄りにバットを寝かせる選手等、色々です。ここで日本プロ野球打撃の理論派のお二人にご登場願おうと思います。中日の監督落合氏、野球評論家の田尾氏です。落合氏は「トップの位置」についてこう語っています。

1. トップの位置はより深く
2. トップの高さはストライクゾーンの上限より高く
3. 早い始動から深いトップに入れてボールを待つ
4. トップを深く入れる時、肩を一緒に動かしてはならない
5. トップの位置からグリップが一度落ちてから振り出すと無駄な動きがあり、打ち損じるケースが多い(写真1)

写真1 (写真1-クリックで見る事ができます。)

かたや田尾氏は、こう言っています。

1. グリップの位置をみんなは強くバットを振りたいから身体の後方へ大きくテイクバックさせてしまう。そういうバッターは大体打率が低い。
2. 腕(ピッチャー寄り)を引いた時、体が前に行くことが多いのでボールを早く感じてしまう。王選手は実はグリップが動いていなかった。(写真2)

写真2 (写真2-クリックで見る事ができます。)

お二人はトップについてこのように発言しています。落合氏は「トップの位置はより深く」、田尾氏は「グリップの位置は動かさない」と、正反対の意見です。これについて解説したいと思います。ご存知の通りお二人とも大変実績のある方で、ご自身の経験に基づく理論は大変貴重な教えです。私達は餅つきなどで餅をつく時に大きく振りかぶって餅をついた方が力が入ることを知っています。ジャンプする時も一度しゃがむように勢いをつけて跳んだ方が高く跳べます。ゴルフだってバックスイングをちょっとしかしなければ300ヤードのショットなんて打てません。こう見てまいりますと「トップの位置はより深く」という落合氏の発言は大変有効なことがわかってきます。しかし、田尾氏は「テイクバック(トップの位置)深く引く」ことをいましめています。「体が前に行くことが多く、ボールを速く感じてしまう」と。実際私達がバットを持って、トップの位置をより深くテイクバックすると、それ以上動かない位置になります。(写真3)

写真3 (写真3-クリックで見る事ができます。)

それ以上テイクバックしようとすると顔までキャッチャーの方を向いてしまいます。バッティングになりません。解剖学の言葉で「可動範囲」という言葉があります。無理なく動ける範囲ということです。先ほどのトップの位置を深くテイクバックしてまいりますと、ピッチャー寄りの肩の筋肉(三角筋)が突っ張ってきます。(写真4)

写真4 (写真4-クリックで見る事ができます。)

その突っ張るまでいかない、トップの位置が可動範囲を守ったその人の“より深いトップの理想的位置”ということになります。例えばどこかが可動範囲を越えれば、体の色々な場所が突っ張ったような感覚になって全身が緊張した状態になります。体は筋肉の性質で、緊張して緩んでを交互に繰り返す事により動くことが出来ます。例えばトップの位置で緊張している状態であれば 
緊張(トップの位置)→緩む(トップの位置)→緊張(スイング)(写真5)

写真5 (写真5-クリックで見る事ができます。)


と三つの働きをします。緩んでいてトップの位置をむかえていれば
緩む(トップの位置)→緊張(スイング) (写真6)

写真6 (写真6-クリックで見る事ができます。)

と二つの動きでスイングがスタートします。先の三つの動きの場合は一つ動きが多いのでボールに対応する動きが遅れるケースが多くなります。「ああ差し込まれた」など。ですから落合氏はトップはより深くと言いながら肩は動かさないと言い、田尾氏はトップは動かさないと言っています。お二人とも筋肉の可動範囲を越えていないトップを作ることを教えています。

教え 野口体操 野口先生
  「次に動ける筋肉は、今休んでいる(緩んでいる)筋肉です」
  古武術
  「居付かない動き」


※注1 より深いトップの位置は、その人の筋肉の柔軟性・関節の柔軟性・全身の使い方・姿勢の違いにより違ってきます。関節や筋肉をストレッチ等でよりよく動けるようにすることは大変有効です。関節の動きを正確に知ることも必要です。
※注2 キャッチャー寄りの脇を大きくあける選手は肩甲骨がよりよく動くように工夫している。両腕の三角筋が緊張しない範囲で。(写真7)

 

写真7 (写真7-クリックで見る事ができます。)

 

「ホームランは偶然じゃない。練習の結果さ。」
ロジャー・マリス(1934年9月10日生 右投左打 183センチ 89キロ ミネソタ州出身。1957年・インディアンズと契約。タイトル:MVP2回(1960,61)、本塁打王1回(1961)、打点王2回(1960,61)


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(例:体の使い方について/トレーニンググッズについて)
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